2009年6月1日月曜日

MAGMAの2009年来日公演に行ったでござる の巻

行って来ましたよ@渋谷ON AIR EAST

MAGMAの来日は2005年以来。そん時はO-EASTとクアトロでしたな。オイラも二日続けて見に行きましたよ、ステキな思い出です。今回は関東については
O-EASTで二回と、リーダーのクリチャン・ヴァンデのソロ公演が一回。その中で今回は28日の来日公演に弟と二人で行ってきました。今回はイス席全席指定という事なので、開演まで余裕があるので適当に渋谷で時間を潰そうかなーなんて思ってたんですが、なんかアホみたいに雨が降ってて出歩こうにも出歩けんような状況だったのでO-EASTの入口付近で弟とだらだらとダベって時間を潰してたら・・・なんと僕らのすぐ傍をクリスチャン・ヴァンデが通り過ぎるというサプライズ!スーッと現れてスーッと消えてく感じだったんで、周りの人たちも「あ、あれ?」みたいな感じ。僕の隣にいた弟なんて全く気付いてませんでしたしね。あんな近くで見る機会に恵まれるとは・・・もうけたもうけた。何故か野球帽を被っててアレは何なのかしら・・・と思ってたらライブが始まって納得。ヴァンデ総帥、てっぺんハゲが進行しておられました(笑)。こればっかりは食事でも筋トレでもどうしようもないからなあ、明日は我が身ですし。でもお腹はもう少し絞った方がいい気がしました、あれこそが年齢を感じさせないハードヒッティングの源泉なのかもしれませんが。コーラス隊を束ねる奥方のステラ・ヴァンデは前回見たときより随分ほっそりしてましたし。

MAGMAがどんなバンドかについてはとりあえずwikipediaとか。レコードデビューは1969年というフランスの(今も進化を続ける)老舗バンドです。ジャンルとしては便宜上プログレッシブ・ロックとかジャズ・ロックに括られる事が多く、僕もiTunesに入れる時はジャンルを“Progressive Rock”にしちゃってますが、実際にはもうロックと呼んでいいのかすら怪しい、極めてオリジナルな唯一無二のマグマ・ミュージックとしか言いようの無い音を鳴らしています。ジョン・コルトレーンの熱烈な信者だったドラマー、クリスチャン・ヴァンデがコルトレーンの死に大きなショックを受けて放浪の旅に出た中で“道半ばにして世を去ったコルトレーンの仕事を自分が受け継ぐ”という啓示を受けて結成したバンドで、最大の特徴はヴァンデが創造したオリジナル言語“コバイア語”で歌う事。人工言語っていうと何だか仰々しいですが、要はフランス語というジャンル上の制約が大きい言語が母国語というハンデを補うと同時に、言語とかを超えた魂を伝えるために心の赴くままに放つ言霊とでも申しましょうか。音楽面の特徴は普通のバンドでは前面に出てくるギターや鍵盤がどちらかというと控えめで、ドラムとベース、そして男性ボーカルと女性コーラス隊による分厚い“声”が中心となってることでしょうか。とりあえず現物を見てもらうのが手っ取り早いッスかね。




※この時期の編成のアヤでツインドラムになってますが普段は一人です。長髪の方がヴァンデ。

彼らの伝説的なライブ盤『ライヴ!』(『
Live Köhntark』とも)はありとあらゆるロックにおけるライブ盤の中でも間違いなく10指、もしかすると5指の一つにすら入るんでないかという名盤中の名盤であり、冗談抜きで聴かずに死ぬのは損の域に入る一枚(二枚組だけど)なんで、多少なりとも興味を持ってくれた方は是非とも聴いてみて頂きたいです。で、気に入ったらスタジオ盤の方に手を出して貰えたらなおステキ。スタジオ盤から入りたい方は『M.D.K.』というアルバムがオススメです。ちなみに『ライヴ!』に関してはユニオンで買わないとひどいパチモンを掴まされるかもなので要注意。

で、今回のライブについて。前回来日時からメンバーに変動があって、ボーカルと二人いるキーボードがチェンジ。あとコーラス隊が一人減ってましたね。新メンバーでやっぱ目立つのは新ボーカルのHervé Aknin(どう読むんだろ)ですかね、聴いた限りでは音程は上から下まで中々広いですが前任者と比べてちょっと声量が少なかったかなあ、と。ただPAや座席の位置の問題もあるんで一概には言えませんね。ガタイのいいアンちゃんなんですが動きがちょっとコミカルで面白かったです。女性陣と同じぐらい高い音を出す場面なんかもあったりして、あれはこれからの新しいウリになるんでしょうか。あと新らしいキーボード担当は片方はずいぶん若い子に見えましたが凄い弾きまくってて、アンサンブルの一員としても飛び道具としても中々いい感じです。あともう片方のキーボードの人は鍵盤よりも鉄琴叩いてる時間の方が長い感じでした。これからは鉄琴がフィーチャーされる場面がふえるんでしょうか。

今回は40周年記念という触れ込みでしたがだからといってグレイテストヒッツみたいな内容ではなく、これから発表されるスタジオ盤に収録されるであろう新曲をメインに据えたセットリストでした。最大の目玉は30年前から様々な場面で断片が発表されてきた超大曲“Ëmëhntëht-Rê”が、今回は50分の完全バージョンで演奏された事ですかね。個人的に一番気に入ったのは新曲の“Felicite Thosz"。30分ぐらいある大曲で、ステラがリードを取る部分が多く設けられた、今までのマグマには無かった感じの曲調のキレイな曲でした。後半にはヴァンデが歌うパートも設けられていて、ラストのインストパートの盛り上がりもかなりテンション高め。スタジオ盤に収録されるのがいつになるのかは分かりませんが、かなり期待できる感じでしたね。芯の部分をブレさせることなく新しいカタチを作っていってるのは本当に凄い事だと思います。御齢61歳のヴァンデは絶好調で、ド迫力のドラムに加えて要所要所で声量・表現力・キレっぷりが更に増した感のある魂の歌唱を披露してくれてこちらはもう圧倒されるばかりでした。腕も声も相変わらず太くて、あの分ならまだまだ活躍出来るんじゃないでしょうか。あと感心したのは弦楽器隊。前回見た時は確かに上手いけど・・・ちょっと目立ちすぎと違うかなあ、と少し違和感を感じてたんですが、今回は音数は減ることなく、しかしより全体に溶け込んだ素晴らしいプレーを見せてくれました。特にベースのPhilippe Bussonnetのプレーは本当にハンパ無い。過去に在籍した名ベーシスト達と比べても決して引けはとらないと思います。

二時間半近くタップリと楽しませて貰って本当に大満足でしたよ。高校生の弟もマグマ初体験でしたがかなり感動してたみたいです。しかし欧米の方々ってのは齢を取っても衰えるって事がありませんなあ、去年からコーマック・マッカーシーの小説とかイーストウッドの映画とか、70をとうに過ぎた爺様たちの作品で感動させられる事が続いてます。「こんなおじいちゃんに感じさせられて・・・悔しい!」みたいな。あれだけ肉食ってる宮崎駿ですら衰えが隠せない(まあスカイクロラだの何だの、他のどうしようもないのと比べたら観れる分だけ圧倒的にマシなんですが)のを見ると、やっぱ体の作りとメンタルの強さが根本から違うんですかね。ヴァンデは還暦過ぎたばかりですし、まだまだ僕らを楽しませてくれるんじゃないでしょうか。次のスタジオ盤と来日公演が今から楽しみでなりません。

マグマTシャツに新顔(左の方)が仲間入りしましたよ。ウフフ、見てるだけで顔がニヤけて来ます。

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