2015年4月29日水曜日

4/29 インドの仏→鈴本演芸場4月下席夜の部 寄席紙切り百年『正楽三代展』記念公演

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休日です。ただいま上野では大アマゾン展とか鳥獣戯画とか楽しそうな企画が目白押し。最初は大アマゾン展に行くつもりだったのですが、朝寝坊してしまったのでパス。アマゾンへの旅は次の平日休みへとっておきます。現在やっているイベントの中では比較的空いてそうなインドの仏を覗いてきました。まだ人の形をした仏像を作って崇めることが禁忌とされていた原始仏教の時代から始まり、インドの仏教美術の数々を釈迦の生涯や仏教の説話についての解説も交えつつ展示するという趣向。勉強になりました。

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で、国立博物館を出た後はマックで軽食を取ったり不忍池を散策したりして時間を潰し、鈴本演芸場の四月下席夜の部 寄席紙切り百年『正楽三代展』記念公演へ。本当は昨日の夜、仕事帰りに行くつもりだったのですが、残業が立て込んで泣く泣く見送り。こうなったら夜からなんてケチな事は言わず、折角だから最初からガッツリ行こうと30分前から並んで開口一番から観ました。結果としてはこれは大成功!

林家なな子『平林』
柳亭市弥『金明竹』
ホンキートンク『漫才』
柳家はん治『妻の旅行』
ストレート松浦『ジャグリング』
春風亭一朝『短命』
桃月庵白酒『喧嘩長屋』
柳家小菊『俗曲』
柳家権太楼『代書屋』
林家正楽 (共演:林家二楽)『紙切り』
春風亭一之輔『鰻の幇間』

場内はほぼ満員で、最初から最後まで爆笑の嵐。兎に角、出る人出る人、落語・色物の別を問わず例外無くウケまくっていました。演者の熱演と客席の良いリアクションが合わさった時の化学反応が寄せの醍醐味なんだなあと改めて実感。番組が進みどんどんボルテージが上がって行く中で、ホンキートンク、はん治師匠、一朝師匠、白酒師匠、権太楼師匠の高座では噴火のような笑いのピークが発生していました。

そして仲入り後にはこの日の主役、正楽師匠と共演の二楽師匠が登場!二人のOHPの形が全然違うことに気づきました。まずは鋏試しに正楽師匠は「初代正楽」、二楽師匠は「二代目正楽」。続いて二人の合作の「相合傘」。続いて客席からリクエストを募って「広島カープ」「パンダ」「宝船」を立て続けに。「パンダ」では二楽師匠の先代正楽直伝スタイルで、正楽師匠が独自に編み出したスタイルでまったく違う姿の上野の人気者を切り出す。二人の息があっているような、そうでないような、絶妙な掛け合いに客席が沸きます。少年時代の二楽師匠と、先代正楽師匠宅に稽古に来ていた正楽師匠(当時一楽)が好きなアイドルについて語り合った時のエピソードも。リクエストの後はお互いが好きなモノを切ろう、という事で、正楽師匠が「馬」、二楽師匠が「鳥」を切り、それを合体させて「ペガサス」で場内は大盛り上がり。ここで二楽師匠が退場し舞台には正楽師匠一人にとなり、「美空ひばりメドレー」を披露。"柔"などの曲に併せて、予め用意してある紙切りを次々とOHPで投写していく趣向。最後は"川の流れのように"に合わせた超大作で感動のフィナーレ。楽屋に下がる正楽師匠に文字通り万雷の拍手が降り注いでいました。

この後はやりづらそうだな……と思っていたら本日の主任として登場した一之輔師匠もまず第一声で「蛇足なのはわかっています」と苦笑。しかし学生時代に客席から見た正楽師匠の話もまじえたマクラから始まった『鰻の幇間』がこれまた素晴らしかったです。特に後半、一八が女中に小言を言い立てる場面では怒涛の如く客席が沸き、正楽・二楽師匠の紙切りや権太楼師匠のマクラに被せたクスグリで場内大喝采。下駄のところで終わらない、一之輔師匠独自のスタイルのサゲも面白かったです。

最初から最後まで笑い通しで、本当に、幸せな時間が過ごせました。今まで寄席に行った中で、文句無しに最高。これからたくさん生で落語を観てくことと思いますが、この日の事は忘れられない、特別な思い出になると思います。落語を聴くことへの渇望感がどんどん増して行く……

2015年4月27日月曜日

4/27 あかぎ寄席

今日は仕事終わりに神楽坂であかぎ寄席に行って来ました。ここにお邪魔するのは今回が初めて。赤城神社の本殿脇にあるエレベーターで地下に降りたところにあるホールで開かれる落語会です。今日は過去の公演に比べてかなり観客が多かったようですが、それでも寄席や他の小規模な落語会に比べると随分と足元に余裕のある空間でゆったり観られました。

本日の演目は以下のとおり。
雷門音助『狸札』
昔昔亭A太郎『ほれうそ』
立川こはる『道灌』
神田松之丞『青竜刀権次 1.5話』

まずは前座の音助さんから。朝から太鼓のお稽古などで随分と多忙だったそう。後の出演者から前座さんとしての働きぶりを賞賛されていました。演目は『狸札』。この噺を聴くと堀骨砕三のケモショタ漫画を思い出します。あれはカワウソでしたが。

続いてA太郎さん。成金で観て以来二回目。前回のあかぎ寄席では新作を披露してアンケートに「死ね」と書かれた……という話から始まる目茶苦茶な内容のマクラで一気に持って行かれます。すべて嘘だそうですが。この日の演目も新作。後半は孫の問いかける単語に対して対してお爺ちゃんが独自の論理からその反語を答える、という形式のシュールな応酬が繰り返し繰り返し怒涛のように押し寄せてくる展開。「好き」の反対は?「白の反対は黒ではない。では何か?」そんなところから始まって、「鳥」の反対とか「親子丼」の反対とかどんどん訳の分からない方向へ話が進んでいきます。そんな中で唐突に観客に問いかけを要求したり、ベタなネタが入ってきたりと思わぬ不意打ちも入ってきて場内は大受けでした。この人の作風、大好きです。もっと追いかけないと。

仲入り前はこはるさん。初めてお目にかかりました。小柄な体躯が高座の上で弾けるように躍動するのが見ていてとても楽しい。

主任は松之丞さん。成金、渋谷らくごと新作を続けて見て来ましたが、今日は古典『青竜刀権次』を第二話の途中まで。マクラはほとんど振らずじっくりと、パンパンと扇子と張り扇の音が気持ち良い名調子。立派な入墨を入れて強面と思いきやヘタレで、名も知らぬ薩摩の武士に出会う度に牢屋にぶち込まれてしまう主人公のキャラクターがおかしい。薩摩の武士がついに名を明かすところでは思いの外ビッグネームで「おおっ」となりましたが、酒絡みで素行に問題があったという逸話も多いしいかにもそんな事をやりそうな人物ではあります。幕末頃の湯島は昼でも女子供は寄り付かないところだったとか。湯島天神男坂下なんて馴染みのある地名なので、現代しか知らない俺にはちょっと想像がつかないです。続きものなのでさあこれからという良い所で切られまして終了。楽しかった!

終演後は飯田橋まで下っていって、学生時代によく行ったえぞ松でホイコーローを食べました。定食とメニューにはありますが、山盛りのご飯の上に味噌の絡んだキャベツと肉が直に乗せられて出て来るホイコーローライスといった外観。思い出通りの味でした。胃がはちきれそうになる感覚もあの頃と同じ。ヒィヒィ言いつつも何とか食いきったので、まだまだ俺は若いということにしておきます。

そのまま総武線に乗って帰宅の途へ。途中、飯田橋で大量に人が乗ってきて、「月曜だからナイターは無いだろうになんだこりゃ!?」と思いましたが、直ぐに今日がポール・マッカートニーの来日公演だったことを思い出しました。一昨年は東京ドームでご尊顔を拝しましたが、今回はけっきょく行けずじまいでした。吹っ切ったつもりでしたが、誇らしげにTシャツを着たおじさんたちを見るとやはりちょっと悔しい。ロック界に訃報が続く昨今ですが、ポールはまだまだ元気そうだし、少なくとももう一回ぐらいはチャンスがあるとは思うのですが。

2015年4月26日日曜日

根津神社のツツジ〜寄席紙切り百年 正楽三代展〜埼玉県立近代美術館

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最近、日曜日は休日出勤で潰れることが多く、久しぶりの土日休みでした。昨日はまあ埼スタには行きましたが、あまり大きな外出はせず体力を蓄えたところで、今日はガッツリとお出掛けをしてきました。

まずは根津神社のツツジ祭へ。二年ぶりの再訪です。ツツジはちょうど見頃で境内は大変な人出。色とりどりの花々を愛でてきました。徳川家宣が奉納したという立派なお神輿も飾ってありましたよ。前に来た時は一眼を持って2時間ぐらいツツジ山の中で粘ってた記憶がありますが、今日はぐるりと回ってほどほどで退場。根津界隈をちょっと散策してから、歩いて上野へ向かいました。

区議会選挙の掲示板で電波入ってる候補が居ないか探したりしながらさくさく歩いて上野へ。不忍池をぐるりと半周して、野外音楽ホールで何やら得体のしれないアイドルがコンサートをしてるのを横目で眺めつつ、御徒町方面へ移動。上野松坂屋で開かれている「寄席紙切り百年 正楽三代展」に行って来ました。二代目正楽師匠(とそのご子息の桂小南治・林家二楽両師匠)は我がふるさと春日部の偉人です。時間は全く意識していなかったのですが、会場に着くとちょうどタイミング良く正楽師匠が実演中。立ち見でしたが小さな会場内でじっくりと凄技を堪能しました。「まねき猫」や「パンダ」といったお題は勿論、「初代と二代目正楽師匠を切っている当代正楽師匠」とか「デパ地下」といった難リクエストにもしっかり応える姿はまさにプロフェッショナル。明後日の夜、鈴本演芸場で二楽師匠との共演を見に行くつもりです。

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で、松坂屋を出た後は上野駅に移動。高崎線と京浜東北線を乗り継いで北浦和へ。長い改装工事を経てリニューアルオープンした埼玉県立近代美術館に行って来ました。ここに収蔵されているポール・デルヴォーの『森』という絵が好きなのです。幻想的で、ドゥーム・メタルな空気を感じます。久しぶりに拝んできました。新装オープンにちなんだ企画展もやっていて、川口の旧家から寄贈されたという横山大観やら下村観山やら堂本印象やらの掛け軸がどっさり飾ってあってありましたよ。

最後はディスクユニオン北浦和店で軽く散財しました。たまに行くと何かしら見つかる、とても好きなお店です。まとめ買いセールを利用してCD九枚で¥6,000強の出費。良い買い物が出来ました。やたらと充実した日曜日が過ごせて大満足です。あとはMXテレビでウルトラQと怪奇大作戦を見て、キン肉マンのweb連載の更新をチェックして寝ます。

2015年4月25日土曜日

観戦記: 2015 J1 1stステージ第7節 vs 名古屋

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昨年の最終節でもうこれ以上は無いというぐらいに打ちひしがれきって、今季は一回ACLを観に行っただけですっかりスタジアムから足が遠のいていましたが、やはりレッズからは離れがたく、あの最終節と同じ名古屋戦で埼スタ復帰いたしました。最後の失点は残念でしたが、それを除けばほぼ完勝といっても良い内容。リーグ戦は好調な中で俺が行った途端に負けでもしたらいよいよサポを辞めようかと半ば本気で思っていたので、ホッとしました。

驚いたのは新規加入組の中では「申し訳ないけど一番出番は少ないだろうな……」と思っていた武藤の素晴らしい働きぶり。豊富な運動量で攻撃の中核を担う姿を目の当たりにして、己の不明を恥じました。日本サッカーにおいて「武藤」といえば今は青と青赤のユニフォームで絶賛売り出し中でサッカーの母国の青いチームからの食指も伸びている彼が第一に来るのでしょうが、こと浦和においては「武藤」といえば武藤雄樹をおいて他にはありません。これからの活躍が楽しみです。

しかし今日の試合、個人的にMOMには関根でも武藤でもなく西川を挙げたいです。後半、ズラタンの決定機を楢崎のファインセーブで防がれた直後、小屋松に裏に抜け出された場面、ノイアーの如き飛び出しからPAの遥か彼方で間一髪ピンチを防いだ勇姿……試合終了直後、歓喜に湧くスタジアムの中で土壇場で許した失点に怒りの雄叫びを上げる姿……改めて、凄い守護神が来てくれたものだと惚れ惚れとしました。

久々の埼スタで何だか久しぶりにレッズがスカッと勝つところを観れた気がします。ついに卒業のしどころが来たのかなとも思っていたのですが、やはり止めようと思って止められるものじゃないですね。ガンバ戦も行こうと思います。

2015年4月20日月曜日

4/19 歌舞伎町のゴジラと末廣亭4月中席

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日曜日は休日出勤でした。仕事終わりに新宿に回って末廣亭へ。前から一度やってみようと思っていた19時からの割引を利用しました。仲入り前の伸治師から。

伸治:替わり目
米多朗:金明竹
ザ・ニュースペーパー:橋下市長、安部首相、石原都知事
王楽:宮戸川
竹丸:漫談
ボンボンブラザース
米助:落語禁止法

主任の米助師匠宛てのコチョウランが高座上にたくさん飾ってあって随分と華やかでした。当然ながら、ミスターからも届いていましたよ。あとどういう繋がりなのかキム兄から贈られたものもあったんですが、ボンボンブラザースの時に繁二郎先生がドン!と足を踏んだらそのキム兄の名前が入った立札がパタリと倒れたのがおかしかったです。

一番のお目当てだったのは圓楽一門会からのゲスト参加だった王楽師匠。シュッとしたイケメンが演じるお嬢さんの艶かしさにドキドキしました。叔父さん夫婦との落差も楽しかったです。主任の米助師匠は3年ほど前に同じ末廣亭で寄席初体験した時にも出演していたのですが、その時は途中で何度も客席の携帯が鳴ってしまい、落語を切り上げてミスターの小噺をして下がってしまいました。なので落語を最後までやり切るのを見たのはこれが初めて。普段着で隣の晩御飯に突撃していたイメージがやはり強いですが、高座上での袴姿がすごく格好良い。ギャップ萌え?ネタは麻薬や猥褻図画を落語と置き換えた新作落語で、爆笑の連続でした。ううむ、もうヨネスケヨネスケと軽々しく呼べないぞ。

末廣亭を出た後は晩御飯を食べて、歌舞伎町のコマ劇跡地に出来たTOHOシネマズのゴジラを見に行ってきました。原寸大と聞いたけどいつの時代準拠の原寸大なんでしょうか。昭和の50メートルかな?顔はVSシリーズぽかったですが。真下まで行っちゃうと殆ど見えず、天下一品の手前ぐらいからだとよく見えます。正直、屋上にポツンとゴジラの生首が置かれているだけなので、まあこんなもんか……という感じでした。ただゴジラに限らず、怪獣のスケールは無闇矢鱈に周りのビルに合わせてでっかくするよりは、ビルの谷間でガオーとしている方が良いと思っているので、次の次の和製ゴジラはこんぐらいの大きさで作って欲しいな、と再確認は出来ました。

2015年4月15日水曜日

国立演芸場 4月中席

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結局シブラクにはその後行きませんでした。今日は前々から代休が入るこの日に行こうと決めていた国立演芸場へ。初めて行きましたがなるほど流石は国が運営する施設、どことなくお固い感じ。そして木戸銭も¥2,100と安い!更に東京かわら版を持っていったので¥200の割引!わーい。平日だから空いてるだろうと思ったのですがぎゅうぎゅう詰めの満員。リコーの親睦会?だかの団体客が来ていたのですが、やはり歌丸師匠の人気もあるのでしょうか。

初めて足を踏み入れる場所というのはどうしても落ち着かないものですが、交互出演枠がタイミング良く以前にも深夜寄席と成金で観たことのある昇也さんでホッとしました。その昇也さんを始めとして、いずれの演者さんもしっかりと楽しませてくれて満足度は高かったです。特に鯉昇師匠の『ちりとてちん』が面白かったなあ。お昼を食べずに観ていたので、お刺身や鰻の描写に思わずお腹がグーッと鳴りましたが、その直後に腐った豆腐が登場してリアルな描写に思わず貰いえづきをしかけました。

トリは歌丸師匠。2年ほど前に地元の市民ホールの落語会(好楽師匠と円楽師匠も出演していました)で『井戸の茶碗』を観たことがあって、それ以来です。最近は足が弱っているそうで、南玉先生がはけた後に一度幕が下り、再び幕が上がると高座に歌丸師匠がスタンバイしていました。演目は『塩原多助一代記』、今席では前半の『青の別れ』をやり、来年に後半を口演するそうです。それを聞いた時は不謹慎ながら「それまでご存命であれば……」と思ってしまいましたが、いざ噺に入ると演じる声はとても力強く、なるほどこれはまだまだバリバリ現役でやっていけそうです。これがネタおろしだそうで「登場人物が入り組んでいるので予め断っておきますが間違えると思います」とマクラで話していましたが、明確に間違えたのは一回かそこらだったと思います。演出なのかガチなのか、時折ロード中みたいに数秒ほど固まってはいましたが。一時間ほどの長講を堪能させていただきました。来年も是非足を運ばなくては。

2015年4月11日土曜日

4/10 渋谷らくごを観に行きました

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シブラクです。場所は渋谷ユーロスペース。道玄坂、円山町……渋谷のあの辺りの地理には未だに不慣れでちょっと行くまでに迷いました。オンエアイーストもそういや真っ直ぐ着いた試しが無い気がする。

この日は立川吉笑→隅田川馬石→神田松之丞→立川生志という出演陣でした。

まず登場したのは吉笑さん。初見です。今まで行った中で特に変わった場所で口演した営業トップ2についてマクラで語った後に新作の『粗粗茶』。すごい早口!「死のう!」の天丼で爆笑しました。"粗粗茶"はその後で生志師に回収されていました。

続いては馬石師匠。先月に鈴本演芸場で見て以来、二回目です。演目は『のし鮑』。シアトリカルな高座で見ていてとても楽しいです。一度アワビを突き返された後、もう一度甚兵衛さんが訪問してきた時に口上を受けて立つ大家さんのキャラクターが凄く好きです。貧しい筈なのに不思議と余裕があって優しい世界観が良いですね。

唯一の講談の松之丞さんは「講談はやりません!」「今日は前のめりに倒れる」という宣言から爆笑の嵐のマクラ。とある師匠が高座で自分の著書を宣伝をしていたが、それは違う、プロの噺家ならその時間で一つでも二つでも笑いを取るべきと思っていた……という話からネット中継で見ている2万人の観客へ自身のDVDの宣伝!大盛り上がりでした。演目は新作?の『三年寝太郎』。宣言通りの前のめりぶり。いつもながら滝のように流れ落ちる汗の量が尋常じゃないです。「トン子は……メス豚でした!」

トリは生志師匠。初見です。マクラで直前の松之丞さんについて言及し「講談の世界にも新しい才能が出て来ていますね。神田……山陽さん。どこ行っちゃったんでしょうね」で場内大爆笑。その後自身の落語会のフライヤーを出してネットの向こうの2万人へ宣伝!この生志師がマクラで松之丞さんを拾った辺りが個人的にはこの日のハイライトでした。演目は『お見立て』。談志師匠と(元?)ヤクザの板挟みになった時の思い出から入って行きました。お大尽とお座敷に出たくない花魁とその板挟みになった牛太郎のお話。粗野な田舎者一辺倒でなく妙に冴えたところのあるお大尽のキャラが良いです。最初は「しつこい客は嫌だネー」と思うけど、だんだん何もゲジゲジ以下とまで嫌わなくてもと同情的になってきます。じっくりと演じられる中で中盤突然挿入される「ポーゥ!」で緩みかけてた集中力が巻き直されました。

今年になって本格的に始めた落語会通いですが、この日のシブラクは今まで行って来た中で一番楽しかったです。ますます寄席演芸を見たいという欲求が高まってきたところで、気になるのは13日の同じくシブラクの20時からの回……次の日はモチのロンで仕事ですが……ううむ行きたいぞ。

2015年4月1日水曜日

MAMIFFER、DANIEL MENCHE、Borisのライブに行って来ました

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さる3月27日、六本木でMAMIFFERとダニエル・メンチのライブwith Borisを観て来ました。場所は六本木スーパーデラックス。星のカービィみたいな名前ですね。

出演陣いずれも生で観るのは初めて。そこまで思い入れは強くなく、特にダニエル・メンチはこの企画で初めて名前を知ったってレベルでしたが、何やら凄そうな雰囲気がするのと、一度も生で観ることの無い内にISISが活動停止してしまったことをずっと残念に思っていたのでせめてアーロン・ターナーは生で見たい、という思いから前売り券を取り、仕事帰りに行って参りました。

一発目のBorisは『Amplifier Worship』から2曲取り上げたりと超ヘヴィなセットリスト。事前に勝手に予想していたのとは異なり、ストレートにドゥームで最高でした。トリのMAMIFFERは手を伸ばせばアーロン・ターナーに触れるほどのかぶりつきで鑑賞。しかしステージの反対側で演奏するフェイス・コロッチャが想像以上に美しく、あっちにかぶりつけば良かったとちょっと後悔しました。

そしてこの日一番インパクトが強かったのが2番目に出演したダニエル・メンチ。事前にiTunesで"メタル"という単語が含まれているのに惹かれて『Marriage Of Metals』を購入し、いちおう形ばかりの予習をしていましたが、この日演奏した中には正にその『Marriage Of Metals』も含まれていました……と思うんですが、ちょっと定かじゃないです。ステージ上でセッティングが始まったと思ったら、何やら同じ形のテーブルが二台、前後に並べられる。前のテーブルの上にはごちゃごちゃとケーブルで繋がれたエフェクター類と、サンプラーにPA卓。後ろのテーブルには何も置かれていない……と思ったら、ダニエル・メンチが登場しおもむろにその後ろのテーブルの上に乗り正座します。手には金属のお椀、口にはボールチェーンを咥えるという出で立ちで、楽器類は特に無し。「?」と思っていたら、ボールチェーンを何やらお椀に触れさせ始めるメンチ氏。よく見るとお椀にはピックアップとケーブルが繋がれているようで、チェーンと擦れて発生した音にその場でエフェクターを操作して効果を被せて行き、「演奏」するという脅威のスタイル!『Marriage Of Metals』は始終鳴り続ける不穏な金属音が印象的でしたが、まさかこうやって音を作っていたとは。テンションが上がってきたところでお椀はうっちゃられ、代わって登場するのがこれまた一般的な楽器のイメージとは程遠い細長い金属のプレート。お椀と同じように下端にはケーブルが繋がれており、これを武士が自刃する時のように喉元に充てがい、声を出して振動させ発生した音にエフェクトを掛けるというこれまた今までに見た事の無い演奏スタイル。その異様な光景にただただ呆気に取られるばかりでしたが、自分の中から沸き上がってくるものを即時に音に変換出来るという点でよく出来ているのかもしれません。単純に手でぶっ叩いたりもしていました。圧巻のパフォーマンスが終わりテーブルから降りた後、足が痺れてしまったのかしばらくステージ上で寝っ転がっていた姿が妙に脳裏に焼き付いています。

終演後、物販でダニエル・メンチの会場限定のCDを買い、入口横に佇んでいたダニエルさんと固く握手をして帰路に着きました。この一夜で彼の名前が自分の中で大きなものになった気がします。またえらく多作な人のようでその音楽の全容を掴むのは容易ではなさそうですが、こつこつ音源を集めていこうと思います。