2014年1月16日木曜日

映画: ザ・マスター


















劇場公開時に観逃していた『ザ・マスター』を仕事終わりに新橋文化劇場で観て来ました。ポール・トーマス・アンダーソンは大好きな監督ですが、この作品も素晴らしい出来栄えです。のっけから「大海原に向かってセンズリをこくホアキン・フェニックス」という衝撃的なビジュアルで幕を開けるのですが、兎に角、この主演のホアキン・フェニックスの演技が素晴らしい。疑似科学のペテン師の気まぐれに振り回され最後は異国の地で切り捨てられる、アル中で色キチでひょっとしたら読み書きに不自由があるのではと疑いを持たせる元軍人を、下劣さとおかしさと哀しみを湛えて演じています。同じポール・トーマス・アンダーソン監督の『パンチドランク・ラブ』でアダム・サンドラーがトイレを無茶苦茶にぶっ壊すシーンがあって、俺はその下りが大好きなんですが、この『ザ・マスター』でもホアキン・フェニックスが便器を滅茶苦茶にぶっ壊すシーンがあってこれがまた絶品でした。

あと目についたのがカメラワーク。被写界深度が異常に浅いシーンが多く、シーンが切り替わったら広角レンズなのに画面全体がボケボケで、そこにメインの人物が入ってきてそのまわりだけにピントを合わせていたり、ホアキン・フェニックスのバストアップが映っているシーンでは合焦している場所はそのままにホアキンが微妙に揺れ動くことで彼の顔がピントの合っている領域を出たり入ったりを繰り返したりと、ボケをフィーチャーした画面作りが印象に残りました。この映画は70mmフィルムを使って撮影された作品ですが、なるほどフィルムの判が大きい事をこういう風に活かすとは面白いです。

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