2014年5月16日金曜日

CARCASS来日公演 東京2DAYSの思い出

CARCASS
Canon PowerShot S110

さる5月6,7日に、渋谷はクラブクアトロで行われたCARCASS来日ツアーの東京公演2DAYSに行って来ました!自分にとってCARCASSはBEATLESやMAGMAなどと並ぶ特別な思い入れのあるバンドで、高校生の時に何となく手に取った『Heartwork」に衝撃を受け、そこから『Necroticism - Descanting the Insalubrious (屍体愛好癖)』『Symphonies of Sickness (真・疫魔交響曲)』『Reek of Putrefaction (腐乱腐臭)』と彼らのディスコグラフィを遡っていった過程は、今から振り返ると僕がエクストリームな音楽への扉を開いて行く道程そのものだったと思います。ちょうどその当時に発売されたポケモン金銀の主人公を"スティアー"、ライバルの名前を"アモット"と名付けるほどCARCASSには嵌っていたのですが、肝心のバンドは既に解散して久しく、生でCARCASSを観るという事は叶わぬ夢でした。

その後暫くの時を経てCARCASSは活動を再開し、2008年にはラウドパークで来日もしていたのですが、その時は都合が付かなくて参戦は叶わず。その翌年のラウドパークではビル・スティアーがFIREBIRDで来日し、この時に"生ビル"を拝する事は叶ったのですが、肝心要のCARCASSの活動は再び停止したままでした。

そんな訳で、もう当分はCARCASSは観られんのかな……と諦めかけていたところで発表された活動再開+新作の発表には狂喜せん限りでした。しかも前作から17年の時を経て発表された最新作の『Surgical Steel』が文句無しのド・ド・ド・ド傑作だったんですからこれには失禁も已む無しというもの。ちなみにその発売前にはフジロックでまさかのGENTLEMAN'S PISTOLSでのビル苗場降臨という椿事が有り、ビョークやFLYING LOTUSの思い出も今ではヘブンと苗場食堂でひたすら「ビルー!ビルー!」と絶叫していた記憶の彼方に吹き飛んでしまっています。で、その興奮も冷めやらぬ中、昨年のラウドパークにCARCASSがやって来たわけですが、チケ代とCARCASS以外の面子を鑑みた時に思い入れだけでは埋めきれない壁が有り、再び見送りとなりました。

これだけCARCASSファンの多い日本なのだから、単独ツアーが必ず近日中にある筈……!との希望的観測に基づくラウドパーク見送り。実際にラウパ後から単独公演の噂は出ており、「ヘドバン」誌やトルーパーエンターテイメントのTwitterアカウントでも実現に向けて動いているとの話はあったものの、中々具体的な話が出てこずやきもきしましたが、ようやく今回の来日ツアーが発表され胸をなでおろしました。チケットの一般発売日当日には近所のセブンイレブンの端末の前に全裸で待機、液晶パネルを痕が残るぐらいの勢いで操作しまくり、首尾良く東京公演両日のチケをゲットしました。

そんなこんなで迎えたCARCASS来日公演。まずは5/6の東京一日目、CATHEDRALのサヨナラ来日公演以来に訪れたクアトロのフロアーで、相変わらず邪魔な柱を避けつつスタートを待つ間は余りのドキドキに心臟が止まりそうでしたが、開演予定時間から寸分も遅れること無く照明が落ち、イントロの"1985"に続いて"Buried Dreams (邦題: 夢の埋葬)"でライブが始まった時は感動の余りに実際に心臟が止まって一瞬死にました。

間髪入れずにジェフ・ウォーカーの「イキマショー!」のMCから始まった"Incarnated Solvent Abuse (邦題: 硫酸どろどろ何でも溶かす)"で早くもテンションはMAX!フロアーは揉みくちゃ且つサーフの嵐で、背中をどつかれまくりながら必死に前方キープしつつヘドバンをしていたら小デブに思いっきり首の上に乗って来られて再び死を覚悟するなど、のっけから過酷な環境!

現在のCARCASSはバンドの中心、二大巨頭たるビル・スティアー(G)とジェフ・ウォーカー(B,V)の脇を、若干23歳のドラマーであるダニエル・ワイルディングとライブ限定ギタリストのベン・アッシュという若い二人が固める陣容となっていますが、この二人の仕事ぶりは見事の一言だったと思います。偉大なる前任者、ケン・オーウェンの影響から上手過ぎるとコレジャナイと文句が出るという複雑な役どころを、バカテクな中にCARCASS的グルーヴを薫らせるプレーで見事にこなしてみせたダンの仕事ぶりも素晴らしかったですが、特に個人的に目を引いたのはギターのベン。3rd、4thにおけるマイケル・アモットのプレーや、ビルの一人ツインギター状態だった『Surgical Steel』の楽曲群を確かな腕で涼しい顔で弾きこなしながらの大柄な身体に映える長髪を振り乱すステージアクションは、ビルとは別ベクトルの二枚目な顔立ちも相まって非常に華がありました。ビルのレスポールに対してエクスプローラーを構えていたのも見栄え的にグッドです。ビル「じゃない方」に留まらない、存在感のあるギタリストだと思います。

とはいえ、やはりCARCASSといえばビルとジェフ!名ギタリストにして名ソングライター、そして未だ衰えぬ金髪さらさらヘアーの端正なルックスで日本中のファンの心を鷲掴みにし続けるビル・スティアーは文句無しのカリスマですが、個人的には同じベーシストということもあり高校生の頃からジェフ贔屓なところが有ります。若干生え際の怪しくなった長髪をなびかせながらステージの中央に仁王立ちし、あの独特のデス声で残虐極まる歌詞を吐き出すその姿をついに生で目撃した時にはちょっと本気で泣きそうになりました。"バカボンパパ"の愛称が一部で定着しつつありますが、世界最高のデスメタルおやじだと思います。「ワリワリ、カーカス!」「ワタシハ ニホンゴ ハナセナーイ!」「ウシ!カネ!(Drがカウベル(牛鐘)を鳴らすパートでの発言)」などのお茶目な日本語MCの数々も素敵でした。

ライブ全体は『Surgical Steel』と『Heartwork』からの曲が多めの構成。しかし初期のグラインド時代の曲もバッチリ組み込まれており、特に我が最愛のアルバムである2nd『Symphonies of Sickness (邦題: 真・疫魔交響曲)』からの"Reek Of Putrefaction(邦題: 腐敗臭)"と"Exhume To Consume (邦題: 餓鬼は屍体を貪り喰う)"ではビルの超低音グロウルも炸裂!ジェフとビルのツインボーカルをこの目で観られるなんて!絶え間なく後方から押し寄せるクラウドサーファーをかいくぐりながらその神々しい御姿を必死に目に焼き付けていました。最新作からのお気に入りナンバーである"The Granulating Dark Satanic Mills"(この曲はジェフ作曲との事)や、CARCASSの輝かしいディスコグラフィの先頭を飾る"Genital Grinder (邦題: XXXをミンチに!)"など、キャリア総ざらい・美味しいとこ取りのセットリストでした。"Captive Bolt Pistol"の途中でブレイクし、「またね!」と言っていきなりメンバーがステージから引っ込み、PINK FLOYDの"Have A Cigar"が原曲と思しき謎のディスコチューン(ROSEBUDというアーティストによるカバーっぽいんですがボーカルなど微妙に違う気も……)をひとしきり流した後に、また戻って来て演奏を再開するという小ネタもはさみつつ、5thアルバムからの唯一の選曲である"Keep On Rotting In The Free World"を経ての3rd収録の名曲"Corporal Jigsore Quandary (邦題: 人体ジグソーパズル)"で一旦終わり、アンコールで"Heartwork"を叩き込むという必殺の流れでフィニッシュ!終わってみれば何と2時間足らず(それでもCARCASS史上最長らしい)のライブでしたが、密度と熱量は半端じゃなかったです。演奏も昨年から続いているツアーの賜物か非常にかっちりとまとまっており、ツインギターのハモり等も一糸乱れずピッタリと決まっていて滅茶苦茶カッコ良かったです。前述のMCや小ネタ、そして延々とスクリーンで流されるチンポや人体解剖などのグロ映像も含め、最高のエンターテイメントでした。

そして翌5/7も再びクアトロへ!整理券番号が前の方だったおかげで会場に入った時点で場所取りの選択肢もまだ多く残されており、フロアー内概ね上手寄りを人波に翻弄されながらウロウロしていた前日から打って変わって、この日は下手側のビルの真ん前の位置をキープ出来ました。ビルの近く、という事で、僕のすぐそばに掟ポルシェ氏が陣取っていましたよ。普段死ぬほど邪魔な渋谷クアトロの柱ですが、この日はサーフ避けとして思わぬ効果を発揮してくれて、ビルの勇姿を間近に(去年の苗場食堂並みに近かったです)望みながら心置きなくヘドバンする事が出来ました。セットリストはほぼ変わりはありませんでしたが、前日から一曲多く3rdからの"Pedigree Butchery (邦題: 由緒正しき屠殺場)"が演奏されていました。なんでもこの曲をやったのは今ツアー中この5/7だけだったとの事!その関係かこの日は"Captive Bolt Pistol"は小ネタ無しでぶっ通しで演奏していました。"Keep On Rotting In The Free World"でダンが曲の展開を忘れて途中からやり直す(その煽りでこの日はカウベル無し)というちょっとしたハプニングも挟みつつ、この日も最後は"Heartwork"で〆!これ以上ない素晴らしい大団円の後にはジェフから「シーユーネクストイヤー!」との嬉しい言葉も聞けました。

ついに生で観ること叶ったCARCASSの勇姿。一週間以上経った今でも、まるで夢の中にいたような心地です。欲を言えば"316l Grade Surgical Steel"と"Rot 'N' Roll"を演奏してくれれば更に最高でしたが、素晴らしい二日間でした。Tシャツを3枚買ったり、勢い余ってどこで使うんだよこんなの……というようなバンドロゴ入りのスポーツタオルを買ったりと、2日分のチケ代も含めてお財布が瀕死になりましたが後悔は微塵もありません。ジェフの言った「また来年」が果たしてどの程度の実現性のある話なのかは知る由もないですが、この来日公演で改めて確認出来たのはCARCASSが懐メロのベテランなどではなく今を生きる超・現役のメタルバンドだという事。必ずや訪れるであろう再開の日を待ちたいと思います。Keep On Rotting In The Free World!!

 

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