2014年5月22日木曜日

DEAFHEAVENの来日公演に行って来ました

DEAFHEAVEN
Canon PowerShot S110

去る5月16日、渋谷エッグマンにてDEAFHEAVENの来日公演を観て来ました!彼らを知ったのはつい最近の事、海外の色々なレビューサイトで昨年に出たメタル新譜のトップランキング記事をチェックしていたら、およそメタルのイメージにそぐわないお洒落アートな淡いピンク色のジャケットのアルバムが上位に頻繁に顔を出しているのに気付いた時。それが彼らが昨年発表した2ndアルバム『SUNBATHER』でした。

随分とあちこちで褒め称えられいるが……ポストブラックメタルとは何のこっちゃ?と思いつつその『SUNBATHER』の収録曲である"Dreamhouse"を試しに聴いてみたものの、初めは「ミ、ミーにはこれはブラックメタルでなくスクリーモの類に聴こえる……」とテリーマンのような表情で固まってしまいました。ブラックメタルは無論好きだしシューゲイザーもポストロックもそれなりに聴いてるけど、それらを混ぜろとは誰も言ってない……と当初は素直に受け入れられませんでしたが、その一方で彼らの音楽の中にある諸要素はどれも自分の好きなものが揃っている事も確か。ひとまず『SUNBATHER』を購入し何度も聴き込むうちに当初の抵抗感も徐々に薄れそれなりに楽しんではいたのですが、どうも素直に向き合えない感覚はなかなか消えませんでした。来日ツアーに関しては当初は「へえ、来るんだ」程度の認識で、CARCASSだ何だと出費が重なっていたのでパスするつもりだったのですが、お仕事の方で思わぬ臨時収入が有り、あぶく銭は速攻で使わにゃ!と急遽チケットを取った次第。2013年、世界中の話題をさらったメタル界のホープである事は動かぬ事実な訳で、賞賛すべきか、あるいは断固として否定すべきか、直に生で観ることで自分の中のモヤモヤに決着をつける心づもりでした。

で、観て来た感想としては……DEAFHEAVEN最高!大好き!1stアルバムの『ROADS TO JUDAH』も買っちゃいました!

いや本当に最高のライブでした。サポートアクトはSTORM OF VOIDとHEAVEN IN HER ARMS、一発目のSTORM OF VOIDは各メンバーの元所属バンドは語れるほど音源を持っていませんが、ストーナー/スラッジーなリフとプログレ的な変則リズムが応酬される格好良いメタルインストでとても盛り上がりました。その後のHEAVEN IN HER ARMSを経て、いよいよDEAFHEAVENの登場!

ステージ上に登場したバンドの面々の中でまず目を引いたのは何と言ってもボーカルのジョージ・クラーク。細身のイケメンで黒のワイシャツに黒の革手袋というカッコ良さとダサさの境界線上を若干ダサ側に傾いたファッションもバンドの世界観の構築に一役買っています。そしてある意味ド肝を抜かれたのがフロントに立つボーカル以外の弦楽器隊3人。これが揃いも揃って大変に見た目がイケてない!特に上手側のギターはBORISのTシャツを着ている点については大変よろしいのですが、フィリップ・シーモア・ホフマンを思いっきりショボくれさせて眼鏡を掛けさせたような風貌に、襟足だけちょっと長めに伸ばした郊外のヤンキーの子供ヘアーな髪型という衝撃的なルックス。彼らの音楽にはPitchforkも大絶賛のシャレオツさと、オタッキーな根暗さが表裏一体に同居しているのは初聴時より感じておりましたが、それがストレートに現出したステージでありました。ちなみにドラマーはイケメンでしたよ。

肝心のパフォーマンスですが、これは強烈の一言!轟音とトレモロとブラストが織りなす桃源郷です。ボーカルは中央の立ち位置からあまり動かず、フロアーの各所に瞳孔の開ききった睨みをきかせ、小手先で不可思議なポーズの数々を決め続ける自己陶酔型のアクションを繰り返し、革手袋に包まれた掌で繰り返しフロアーの観客と固く手を握り合っていました。かくいう自分もセットリストの終盤でガッチリとシェイクハンドして来ましたよ。驚いたのがセットリストで、彼らの最新作『SUNBATHER』には合間合間にインスト小品を挟む形で各々が10分を超える大曲が4曲収録されているのですが、アンコール前のセットリストはその4曲を収録順通りに演奏する、というものでした。大御所級は別にして、最新作から一番多く曲を選ぶのは当然の話ではありますが、最新作をほぼ完全再現する、というのは余り見たことが無くて新鮮でした。演奏は終盤に掛けて尻上がりに熱を上げて行き、後半のバンドとフロアーが一体となっての盛り上がりようは壮絶でした。

そんな訳でとても良いライブでした。と同時に、俺自身はDEAFHEAVENに対して完全にシャッポを脱いだ格好です。あのわだかまりは何だったんだと自分でも不思議に思うほど、今は素直に聴けています。ビールと××××は生が一番とはよく言われますが、バンドに関しても然りですね。最高のメタルを聴かせてもらいました。しかし今回のライブは事前にある程度予想出来ていたとはいえ、メタルT率がやや低めで普段着姿の人も目立つ客層。やはり身構えてしまいます。何と戦っているのかもよく分からぬままに、負けてなるものかとヘドバンしまくっていた後遺症が、一週間近く経ってもまだ抜けきっていません。

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